NHKの回収員を撃退する方法!みたいな記事、多いですよね。確かに払いたくない人も多いでしょう。もちろん僕も払いたくない!その理由は様々ですが、法律である以上、払わないことにも正当性が必要です。それがどうにもNHKを敵に見立てて「払わずに済む方法」だとか「撃退!」なんて言葉が踊ることにものすごく違和感を覚えるんですよね。
主観的解釈や嫌悪感が契約を拒む理由にはならない
多くの方がNHKに払いたくない理由はここにあるのではないでしょうか。相次ぐ不祥事、放送内容の偏り、受信料の不透明な用途などなど。
あとは、民放が無料なだけに、TVにお金を払うというのがピンとこなかったりなんかもったいない、払いたくないという気持ちもあると思います。
しかし、それらはNHKの契約を拒む理由にはなりません。
なぜかというと法律(訓示規定ですが)で定められているからです。国民は法律法令を遵守する義務があり、まずはその認識をしっかりと持つべき。話はそれからだ。
多くの方が言う契約しない理由を潰してみる
※僕が納得して書いてるのかどうかは別問題として読んでください。
①NHKを見ていない
見るか見ないかの個人の事情は関係ない。見れるか見れないかだ。
②NHKは国営放送なのに払うのはおかしい
国営放送ではありません。公共放送です。参議院総務委員会で審議され予算の認可が下りているので果たして公共放送と言えるのか疑問を呈する方も中にはおられます。
ここで勘違いされる方が多いのだけど、国(税金)から予算が出るわけではなく、『本年も国民から公金(受信料)を徴収してもいいですか?』、という審議と承認であり、この予算審議を毎年度行うことは放送法第70条で定められています。
http://www.houko.com/00/01/S25/132.HTM#070
こういった成り立ちから国営と公共の境目が曖昧に感じるかもですが、個人的には公共放送だからこそ国民の代表たる公の場で審議し承認があるべきだと思っています。
公共というのは当然に公平であり公共たる国民にとって有益でなければいけません。これらは、例えば災害、テロや戦争などの国家的有事、時事などの情報源としてどれだけ公平、的確、適時に放送できるかということ。それを国民の目で監視し、放送の在り方を精査追求していく。そのために委員会審議というプロセスは必要であり、責任所在も明確になるのです。
③ワンセグ、カーナビなどは放送受信を主目的としていない
ワンセグ付きでない機種を選べる自由があり、放送を受信しない(ワンセグ・フルセグ無搭載)のカーナビを選択する自由もあります。民放を見るためという論理は通らず、それを選択したことはNHKの受信の承諾とみなすことができ、NHKを主目的としていない証明が困難である。ただし、ワンセグに関しては設置ではなく所持ですので支払い義務はもともとありませんし、NHKはこの点に関し敗訴の判例が出ています。「ワンセグあったら支払い義務あるんですよぉー」みたいな内容で迫ってくるNHKの回収員も多いようですが、ここらへんも話のキモになってきますので最後までお読みください。
④NHKの体質や運営に不満がある
例えば仕事を完了しクライアントからお金をいただく、商品を提供してお客さんからお金をいただく、その際、「お前の生活態度が気に食わないから払わない!」「お前の会社の運営や予算の使い方に納得いかないから払わない!」などと言われたらどうでしょう?納得できますか?
それはそれ、これはこれです。ただし、コンプライアンスな点はしっかり追求しなければいけませんよね。しかしそれは玄関先での押し問答で行うことではなく、裁判で行うこと。もしくは、NHKの体質や運営にメスを入れるという公約を掲げた立候補者に選挙で票を入れることで抗議、改善を求めるものです。
⑤国民から徴収しておきながら給料が高額
腹たちますよね。でもそんなこと言っても仕方ないんです。税金ではないからです。例えば僕が有料記事1000円で皆さんに売りつけたとして、人によっては1000円の価値、別の人にとっては100円の価値もなかったとして、それで僕が1000万円儲かってドバイで豪遊したとして、 それは商取引の結果であって他人が口出すことではないのです。
ではこの不満をどうすればいいのか。
100円の価値しかなかったことをデモなり裁判なり国政の場で証明し、料金値下げを要求するしかない。収益が減れば必然的に給料も下がるはず。すでに出来上がっている結果に文句を言うのではなく、プロセスを変えるという発想は様々な場面で必要です。
⑥番組がつまらない・偏向報道がひどい
なぜわかるのでしょうか?見てますよね完全に。払いましょう。
結局、NHK受信料払えってこと?
いいえ違います。
NHK肯定記事と誤解される前に結論から言っておくと僕は払っていません。向こうから、「では結構です」と言ってきたので。
ただ、散見する多くの場合、断る理由も根拠も薄いということです。
契約しなくて済む方法としてほとんどの方の根拠になっているのがこれですよね、はい来たこれ
放送法第64条
旧32条から地デジ化に伴って新たに書き加えられ統合されたものが64条です。
ちなみに多くの記事に散見されるのが「支払い請求を断る」という文言。
現在、NHKの営業員に金銭請求権はありません。正しくは契約の締結代行です。契約の締結を行ったらもちろん支払い義務は発生するので払わなくてはいけません。
さて、この放送法第64条、まずは見てみましょう。正しくは放送法第六節第六四条ですね。
(受信契約及び受信料)第六四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。2 協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。3 協会は、第一項の契約の条項については、あらかじめ、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。4 協会の放送を受信し、その内容に変更を加えないで同時にその再放送をする放送は、これを協会の放送とみなして前三項の規定を適用する。
(引用:法庫)
この1にあたる条文をNHKを撃退!する根拠として水戸黄門の印籠のごとく掲げているわけですよね?
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
これはまあ、分かりますよね。NHKが映る機械を設置したら契約しなさいということです。 ちなみに協会とは日本放送協会のこと。N日本 H放送 K協会 NHKのことです。
ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
ここですよね。
放送の受信を目的としない受信設備~この限りではない をNHKに対抗する根拠にしている方が多いです。この目的としない、という部分。多くの方が誤解されているかと思いますが、所有者が目的とするか目的としないかではないですよ?所有者が「NHKを受信する目的ではない!」といえばそれで免除されるということじゃないです。
そもそも家にTVを設置する主な目的は放送の受信です。DVD専用と言ってみたところで、もしくは本当にそうだとしても、住宅設備、生活居住、というものの一般認識や社会通念としてそれは通じないでしょう。証明も困難です。
そもそも論としてTVは全般がそういう目的で「製造」されていますので。
では放送の受信を目的としない受信設備の設置とはどういうケースが考えられるか。普通に考えれば、その設備の環境用途が放送受信を目的としていないと明らかなもの、です。
・チューナー非搭載のパソコン。
・会議室でのプレゼンや資料観覧などに使用する大型テレビ。
・店頭PRで使用するDVD用のTV。
・家電量販店販売用及び展示用商品。
・店舗、自宅などの防犯カメラ用モニタとして
など、明らかに放送の受信、視聴を目的としない用途での設置です。過去の判例などでも、この条文を根拠にした契約の拒否に関して軒並み敗訴し、支払い命令が出ています。また、上記で例を挙げてきた拒否理由もやはり敗訴、支払い命令が出ています。
POINT
ただしこれらは現行の傾向と通念的解釈を反映したものであり、僕個人はこんなこと本気では思っていません。
そもそも論として、テレビを設置しただけでは契約義務などないし電波法や受信という概念を突き詰めればNHKが観たくて観ている人以外は契約の義務はないと言えます。本来放送法第64条はNHK受信機器を管理監督者の管理下において操作、受信を行うという前提のもとに作成されているので、放送の受信を目的としない受信設備~この限りではないという抜粋をせずともこの64条自体、本来はNHK受信目的者以外に該当するものではありません。総務省でもそういう解釈ですよね。ここらへんは僕も随分前に調べまくってかなり勉強しました。
あくまでも、現行の傾向や判例を見る限りではそういった解釈が反映されておらず、その傾向の中でベストに立ち回るためには、という前提で読み進めてください。
法律は解釈ですからその時々の風潮や勢力、時事によって変化するのはこれはもう言ってしまえば庶民一個人がどうこう言ってもどうしようもないことです。
Bleak time PR
放送法は合憲である
そんなNHKとどう向き合うべきか
NHKの回収員訪問は契約を取りに来る営業マンである
セールスであるという認識で対応する
NHKを特別視しすぎて構えすぎ
結論
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なんとなくうやむやな判決でしたが、一応勝訴しています。理論上は、放送法第64条を論破できるはずですし、特に『若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。』にも該当するかと思います。
ただし、『これをつければ受信できない状態にできる』のですが逆に言えば『これを外せば受信できる状態にできる』とも言えるので今後どうなるかは保証しかねます。